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2012/09/4

日本人は柔軟か

なぜ個人の時代だと言われるのでしょうか。
個人主義の事ではありません。
先日学生と話をする機会があり、
日本人は柔軟なのかという事を考えていました。
僕が年に数回、中国へ出張に行っていた頃の話。
歴史に疎かった自分は、仕事で中国へ行く度に
日本にしか無いと思い込んでいた物が、
結構中国から来た物だったということに驚いていました。
食材のほとんどは中国から来たもので、日本にあるものは
かつて日本風にアレンジされたものがほとんど。
(個人的には、出汁は日本のオリジナルだと思っていますが。)
目的はどうだったにせよ、歴史的にも古くはそれまで
日本を作ったとされる天皇の祖先を仰ぐ首長霊信仰だった
クニが国家レベルで仏教を取り入れたり、
明治維新では国家の体制ごと西洋式を取り入れ
国教は仏教から日本神道に戻ったりしてきました。
これには、ヨーロッパのように隣接した国が無く
常時領土争いを繰り返すような環境では無いため、
隣国は敵ではなく、お手本だったという背景があります。
交通手段が進化していくとお手本の相手は
欧米へと移って行きました。
こういった歴史的な背景が、日本人が外から来た
変化に対して柔軟だと言われる所以です。
では日本人は柔軟なのか? というと、
そうではないと思います。
というのも、日本が柔軟さを発揮してきた過去2000年間を通じて、
江戸時代の大半を除き、隣国や欧米を見習って常に発展してきました。
つまり日本が国家として成立する以前から、隣接する敵国がいない状態で、
常に発展途上国だったから受身的に変化を受け入れてこれたと言えます。
日本人が柔軟なのではなく、日本の環境が柔軟だったのです。

歴史上初めて発展途上国でなくなった時から日本は柔軟さを失いました。
それは『デフレの正体』でも書かれている通り
高度成長期でもバブル期でもなく97年~99年頃と
最近の事なのだと思います。
次々と規制される新しい活動やサービス。
一つの事を決めるのに恐ろしく時間がかかる企業や官僚。
発展途上の国に行くと、見た目はまだまだ整備されていなくても
フリーWifiはあるし、クリーンエネルギーには積極的。
変える必要がああればあっという間にで景色は一変します。
かつて日本が変化に対して柔軟だっと言われる事を
発展途上の諸外国はそれを超える勢いで変化しています。
では成熟社会の未熟者、日本が変わっていくには
どうしたらいいのでしょうか?
歴史上初めての事なのだから、もちろん以前のように
誰も適正な答えを与えてくれませんし持っていません。
教えてくれないからと言って腹を立ててはいけません。
だれも答えを持っていないのであれば
もう自分が変わるしかありません。
大多数の変化を待つのではなく、個人レベルの柔軟さで
自分から変わって動いていくしか方法が無いだけなのです。
何を今さら、という話ですが、
いまだに景気が良くなることを待っている人はたくさんいます。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
(2010/06/10)
藻谷 浩介

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