「カタチではなくカチを作る。3Dプリンタの影響。」

2012/11/05

かつてデジタルカメラや家庭用インクジェットプリンタが一般家庭に普及したように、今度は3Dプリンタも普及して個人が「メイカー」になる事ができて製造業のあり方が変わるのでしょうか?
僕は半分YESで半分NOだと思っています。
印刷屋さんのクライアントに「個人」が増えたことは事実です。
でもDTPやデジカメが一般に普及して個人が印刷屋さんになったり、印刷業界が変わったでしょうか?
印刷業界が変わったのはAdobeなどのソフトウェアの標準化とインターネットの普及です。
一部の人達には有用かもしれませんが、3Dプリンターなど無くても既に個人でメイカーになっている人はいるし、ならない人はなりません。
個人がメイカーになる為に必要なものは「意思」と「発表する場」です。
実際にはDTPが個人の願望に応えた事は自分で撮った写真を自分で印刷したり年賀状を印刷することくらいで、撮った写真をオンラインにアップしたり自分でブログを書いたりすることの方が多いと思います。
他には名刺やポストカード、Tシャツなんかをオリジナルで作れるくらいですが、未だにインクジェットプリンタの速度は遅いし、インク代は高い。
そういったものを僕が作ったとしても、とても量産できるような代物にはなりません。
では簡単にどんな影響があったかというと
・デジタル技術の進化でアウトプットまでの合理化ができるようになった。
・業界の標準が変わり、古い技術に携わる仕事が減った、小さな印刷屋も減った。
・Windows PCが一般に普及したことによってデジタルカメラやDTPソフトも普及した。
・値段が下がり誰でも簡単にDTPソフトやカメラが扱えるようになった。
・誰でも簡単にデザイナーやカメラマンに(自称も含めて)なった。
・熟練の技術というプロへの参入障壁が極端に下がることで必然的に単価が下がった。
そう、DTPが一般に普及することでの影響があったのは印刷業界ではなくデザイナーやカメラマンなのです。
これが3Dプリンタだったらどうなるのか。
積極的な企業はどんどん事業に取り入れて行くでしょう。
既にたくさんの活用事例がありますが、オリジナルデザインのハンコ、フィギュア、建材、iPhoneケースなどの装飾の部分が取っ掛かりでしょうか。
企業が導入し始めると、3Dソフトの操作技術のニーズがもっと増え、確実に学校の授業で3Dプリンターの導入が始まります。
プロ並に3Dソフトを扱う学生が出てくる事も考えられます。
プロが使う3Dソフトもどんどん安価になっていきます。
実務レベルには達していませんが、フリーの3Dソフトも存在します。
スケッチを描くように3Dソフトを扱う人が増えていきます。
そうなってくると、うかうかしていられないのは僕達プロダクトデザイナーやモデラー(試作品の造形師)といった人達なのです。
そもそも離れてはいけない業種であるプロダクトデザイナーとモデラーの垣根が無くなっていくことになります。
僕達デザイナーはますます「形」を造ることから離れて「価値」を作る人になっていかないといけません。
その価値を若いデザイナー(モデラー)達が形にしていってくれるでしょう。
ということで、これは学生がもっと3Dソフトを覚えてくれたら助かるな、と思った一冊です。
一読の価値はあります。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
(2012/10/23)
クリス・アンダーソン

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