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2013/06/24

「ある偉大な二人の言葉」

9年勤めた前職を辞めてもう1年が経ちました。
社会人10年越えです。
しかし早いですねー。早すぎます。
特に会社を辞めてからのこの1年は、今までで一番早かった気がします。
同時に、このブログを書き始めてからも1年が経ちました。
以前テレビでマツコ・デラックスが言っていた事を身に沁みて実感しています。
「30代の10年なんて一瞬よ。」

そんな格言の1/10ですからまさに束の間。
あくびしてる間に過ぎてしまった感じです。
そんなあくびが出るような休日の蚤の市でこんなものを買いました。
0622A.jpg
三ばい、五はい
きのこの山みたいですね。
0622B.jpg
頭はこうなっています。
実はこれ、人差し指程度の大きさで、駒のように回すサイコロです。
お酒の席などで使う罰ゲームアイテムですね。
0622D.jpg
反対側は 唄、踊り
この辺りが出ると嫌ですね。
運命別れすぎです。
こういった昔ながらの宴会アイテムは、今でもお土産物屋さんなどに行くと売っているのですが、面白いのは一緒に付いてきたこのラベルです。
0622F.jpg
これは日本酒の栓の底にくっ付けて売られていた、言わば販促品だったのです。
まさかの、栓の底にくっ付けて、です。
しかも昔の日本酒にはコルク栓もあったのですね。
知りませんでした。
そして年代を見ると昭和14年。戦争真っ最中。
戦時中にこんな道楽の極みのような販促品があったなんてイメージありません。
どんな時代だったのでしょう?
ちなみにこれを売っていた爺さんも昭和14年生まれとのこと。
その爺さんも生まれた時の事はもちろん覚えていませんでした。
このようなラベル一枚でも、3つも驚きがあります。
たまにこういう面白いものを探しに蚤の市に行くのも醍醐味ですね。
だけどこういった場所に行く事も、古いものが好きだから行くのではないと感じています。
もともと新しいものの方が好きですし、現代には無い感覚や工夫を知って刺激を受けたいだけなのだと思います。
この数年、こういった蚤の市で売られる古いものや、昔から使われ続けている定番の製品、昔から使われている”感じのもの”がブームです。
年を経て培った確かな製品や、温もりを感じるものに安心を感じる事も確か。
パリの古いアパルトマンのような部屋に住みたいという願望もあるでしょう。
それはそれで良いと思います。僕もお洒落な部屋に住みたいです。
しかしそういう物を見る度に、ある方から言われた事を思い出します。
「古いものやロングライフを意識してデザインする事は、デザイナーにとっての敗北です。」
それを言われた時は衝撃でした。
”古さを感じるもの”とは、様式化されたものの再現です。
”長く使われているもの”は開発・営業努力の結果であって持続性とは違います。
飲食店でも、新しく出来たお店がいつも行くお店より不味かったり雰囲気が悪ければ、もう二度と行きません。
たくさんのスパイスを持っていても、作った料理が特徴もなく味も不味ければ料理人失格です。
製品だって何か新しい驚きがあるから欲しくなるし、買った物が今まで使っていたものよりも劣っていたら、次はもうありません。
今はプロダクトデザイナーにも色々な資質が必要ですが、コーディネーターでもエディターでもありません。
どんなに古いものがブームになっても、僕たちはより良い物、今まで無かった価値を作り続けることが仕事です。
その試行錯誤の結果、定番になり、長く使われて古くなっていくだけの事。
ただちょっと、一昔前とは価値判断の尺度が変わった。
それだけの事なのです。