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2013/07/22

「知財関係 覚書」

ものづくりに関わると意匠や特許などの知財保護は必ず付いて回ります。
特にこれから初めて自社ブランドの製品を作っていこうとしている会社には避けて通れません。
護る事ばかりに目を向けてもいけませんが、作家っぽく言うと、好むと好まざるとに関わらずうまく付き合っていく必要があります。
ということで自分の覚書のためにも、何回かに分けて残しておきます。
第一回 意匠登録
審査後、登録されると最長20年間、意匠が保護されます。
図面、及び写真での審査のため、少し形状や構成が変われば別意匠になるため、一件の権利範囲がすごく狭い。
感覚的に、何か似てるなーという程度は違う意匠だと思っておいた方が良いです。
そのため、1つの商品でも複数のバリエーションで出願したり(それぞれを別件の出願とする)、本意匠を元に部分意匠や関連意匠といった方法をとったりします。
出願後、登録までに半年から8ヶ月程度で審査~登録されます。
・特許庁に支払う費用
出願時に発生する特許庁への印紙代は16,000円
審査後、登録されたら毎年費用を納めます。
1年目から 3年目まで 毎年 8,500円
4年目から20年目まで 毎年 16,900円
(一昨年まで11年目から20年目までは毎年33,800円だったのが安くなりました。)
・弁理士さんに払う費用
出願時手数料(契約にもよりますが、多分60,000円~100,000円)
図面作成代(図面の難易度・枚数によりますが、1枚数千円程度)
審査後、登録されたら成功謝礼金を払います。
(契約にもよりますが、多分60,000円~100,000円)
出願までにかかる費用が実質特許庁への手数料16000円だけなので、図面を引ける能力があれば、弁理士さんに頼らず、自社で出願していった方がメリットがあります。
※その分、最低限の簡易調査も自前でする必要がありますし、拒絶査定された時の申し立てなどの手続きが大変です。
また、保有する全ての商品の権利費用を払う事は大変なので、商品の発売や見本市での公表までにたくさん出願して商品性を確認してから登録するかどうかを判断しても遅くはありません。
公開後の出願は実質不可で、特定の見本市での公表のみ例外が適用されますが、手続きが大変です。
1日違いで似た意匠が出願されると、そちらが優先されて拒絶査定される場合もありますので、とにかく出願を早く済ませる事が先決です。
後の商標や不正競争防止法にも関わりますが、そこでより多くの権利保護にかかる費用を最低限に抑え、抑えた費用をできるだけ「有名になるための費用と労力」に捧げる事が重要です。
(例えばデザイン賞に応募することだったり、取材などのPR活動だったり)
通常、権利が登録されると公開されるので、だれでもインターネットで見ることができます。
逆に言えば、2番煎じのメーカーが、どのように違う意匠にすれば自分の商品も権利を得られるかが簡単に分かってしまいます。
(日本の特許庁のホームページには中国からのアクセスもかなり多いらしいです。)
オンラインに乗せるということは、世界中に開かれているという典型ですね。
出願時または登録時に秘密意匠という手続きもでき、登録後三年間は内容を非公開にできます。
但し非公開という扱いになると、第3者も知るすべが無いという事なので、仮に模倣されたとしても、いきなり権利行使が出来ないということになります。
意匠登録一つとっても、分からないからといって言われたとおりにするのではなく、自分達がどうして行きたいかを明確にして、使い方を選ぶ事が重要です。