「食わず嫌いを無くすと意外と簡単」

2013/08/05

初めて特許・実用新案を出願する時や、既存の権利を調べる時に「請求項」という聞き慣れない言葉が出てきます。
「クレーム」とも言います。
この請求項(クレーム)の内容がそのまま特許権の効力になる、とても重要な項目です。
特許の案分のほとんどは、権利の詳細な説明を記載した分厚い書類になるので読むのも嫌になります。
しかし僕達は製品について調べたり、新製品の特許の取り方を考えたりするだけですので、知財の実務に従事しているわけではありません。
難しい字がいっぱいだと苦手意識を持っている人もいると思いますが、全部読む必要は無いのです。
そんな時、この請求項が分かるだけで、僕達には十分な情報を知ることができます。
請求項で多いパターンが、
A)1が権利範囲が広く優先順位の高い独立した上位クレーム、4が優先順位の低い下位クレームになる場合。
B)1~4がそれぞれ並列的な権利である場合。
この請求項をカトラリーを例に簡単で書くと、
A)の場合
請求項1:板状の一方に食材を挿す為の歯が付いていて、もう一方に歯と一体の持ち手が付いている食器。
請求項2:請求項1の食器に少なくとも1本以上のスリットが開いている食器。
請求項3:請求項2の食器の歯と持ち手の間が液体をすくう為に椀状に形成された食器。
請求項4:請求項2の食器の歯の外側一方に食材を切る刃を備えた食器。
1は一番広い範囲で、カトラリーとしてはフォークともナイフとも言えます。
2は1に2の内容に加えてフォークになります。
3はスガキヤのスプーン・フォークのようなものになります。
4はケーキのフォークのようなものになります。

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請求項1~4をa~dとすると
請求項1:a
請求項2:a+b
請求項3:a+b+c
請求項4:a+b+d
これが他者の出願文だった場合、多分3と4の商品を権利化したいという事が分かります。
式にすると、ab(c+d)を因数分解しています。
請求項1がそのまま認められたら、ほとんどのカトラリーの権利を持つことになりますが、多くの場合ダメもとでの出願をしていると思います。
このようにダメもとで1に権利範囲の広い内容で出願して、うまく行けばそのまま広い権利を取得できたり、棄却されて狭い権利に訂正したりします。
棄却されたら、出願時の請求範囲内で請求項を狭くするなどで修正します。
請求項1:板状の一方に食材を挿す為の少なくとも1本以上のスリット歯が付いていて、もう一方に歯と一体の持ち手が付いていて、食器の歯と持ち手の間が液体をすくう為に椀状に形成された食器。
請求項2:板状の一方に食材を挿す為の少なくとも1本以上のスリット歯が付いていて、もう一方に歯と一体の持ち手が付いていて、食器の歯の外側一方に食材を切る刃を備えた食器。
というようにB)の場合のように、1と2を違う効力のものになります。
ちなみに、この請求の場合、歯と持ち手が一体だと言っているので、木の持ち手などが付いた持ち手のカトラリーは権利範囲外になります。
このように特許はとても複雑で、言葉遊びになりがちのように思えますが、本当に実効性のある内容に出来るかどうかは市場をよく見ながら弁理士と相談して決めていかないといけません。
発売後に自社の権利に抵触された場合、商標や不正競争防止法という法律がブランディングにも関わってきますが疲れましたので次回以降に書きます。