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2013/08/12

「広告にはいろんな役割がある。」

前回まで四法(特許・実用新案・意匠・商標)のうち、僕達プロダクトデザイナーが関わることの多い特許・実新・意匠について書きました。
ところが、この3つでもカバーしきれない事が多々あります。
特許を出願するまでの発明性は無いけど、デザインに独創性があり、しかも真似されやすい製品などがそうです。
僕が学生だった時に有名な訴訟がありました。
当時、安価なパソコンで有名だったソーテックがAppleのiMacに似た製品を出して訴訟に発展した事件です。
当時Appleはスティーブ・ジョブズがCEOに戻ってきて、当時あまりにも斬新な半透明なボディをまとったiMacを発表し、一般の人にもAppleの名前を認知させることに成功しました。
僕もこの製品でAppleの存在を知りました。
その後、どの市場でも同じような色で半透明のプラスチックを使った製品に溢れました。
ところがAppleと同じ市場のソーテックが半透明で明らかにAppleを意識したパソコンを発売したのです。

この場合、普通は真似したなと思うのですが、前に触れたとおり形が全然違うので意匠権の権利は及びません。
どうしても構成が競合他社と似てしまうエレクトロニクスの場合、少し似てるぐらいでは違う意匠と判断されることも多いと思います。
このように4法では守り切れない範囲の形態を保護している法律が不正競争防止法です。
その中でも多分僕達に関わりがある項目が2つ
・周知表示(混同惹起行為)第2条1項1号
 需要者の間に広く認識されている商品等表示したり、表示した商品を譲渡などして、他人の商品または営業と混同させる行為。
 ※簡単に言うと、商品の市場性、見せ方、表示、形態を総合的に模倣していると見なされるものやその取引。
 デザインとしては、「類似品」に該当します。
・商品形態(模倣行為)第2条1項3号
 販売されてから3年以内の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為。
 デザインとしては、「模倣品」、デッドコピーに該当します。
上記のAppleのケースだと1号の周知表示を適用していました。
これらの法律によって、特許や意匠を登録していなくても良くなったかというと、そうではありません。
周知表示であれば、「有名」であるということを証明しなくてはなりません。
周知というのは、だいたい誰でも知っている、というニュアンスらしいです。
それらを証明する労力や費用は並大抵ではありません。
上記のAppleや、スターバックスがエクセルシオールのロゴ使用を訴えた事件も同じ1号ですが最終的には和解となっています。
スターバックス
Apple
賠償よりも、デザインの変更であったり、類似品の出荷停止が目的な訳ですから、裁判を長期化させるよりも和解のほうが得策だと判断したのだと思います。
しかしその為に権利者側は、権利保護だけでなくブランディングや広告で周知に積極的であることが最低必要な活動です。
作って売っているだけでは、周知されているとは見なされないのです。
有名ブランドが、すぐに実売に反映される訳では無くても、多くの広告費を費やす理由の一つです。