「工作の技術」

2014/12/01

先日大学の授業でのこと。
ある学生が取り組んでいる課題で、段ボール製の単純な箱型のスケールモデルを作る、
という作業がありました。
そのモデルを授業内で作り直すことになったのですが、時間が無いから無理だという返事。
理由を聞くと、工房にあるレーザーカッターは前日までに予約を入れないと使えない、
とのことでした。

最近は多くの学校でレーザーカッターや3Dプリンターを導入していますが、
段ボールを切るだけでレーザーカッターを使っていることに驚きました。

その場はそれくらいカッターで切りなさいという話をして、
展開図の計算や折り線の入れ方などを説明しました。
(最初に作ったモデルはレーザーカッターで箱の面ごとに切り分け、
折り目は裏からテープを貼っていました。)

この一件はとても複雑な問題をはらんでいますが、物を作るということだけに絞ると、
機械の正確さや効率性に頼って物を作る事は、誰かに見せる必要があるときや、
仕様を検証したり複数のものを比較する時には便利です。
これをモックアップと言っています。

頭だけで考えた物がそのまま正確な完成品になってしまったら、
点と点が繋がるだけなので、そのものの検証をすることは出来ても、脱線することが出来ません。
自分で工作が出来れば、作っている過程で考えの間違いに気づいたり、
もっと良いアイデアが生まれたり、素材を組み合わせてみたりすると思わぬ発見がたくさん出てきます。
これをプロトタイピングと言っています。

そうして結果出来上がったデザインを検証するため、見せるためのものづくり、
モックアップはその道のプロや機械に任せたら良いと思いますが、
プロトタイピングはアイデアスケッチの延長、予約を待つものではなくデザイナー自身が作るものです。

工作の技術を飛び越えて機械でしか物が作れなくなると、
発想の幅が狭くなってしまうように思います。

僕はというと、時計の針の検証は0.1mm単位で調整するので、
いい加減レーザーカッターが欲しいなと思っています。
さすがにこれは自分でしなくて良いだろうと。

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