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2015/02/23

先々週、とあるお仕事で福井県の鯖江市に行ってきました。
鯖江と言えば眼鏡の産地。
説明では日本製のシェアの97%が鯖江で作られていて、世界で見ても20%もあるそうです。
僕は昔から目が良いので、ロードバイクに乗る時以外に眼鏡を掛けた事がありません。
今は街にもたくさん眼鏡屋さんがありますが、宝石店と同じくらい縁遠い存在です。

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伺った工場ではセルロイドとアセテートの眼鏡を製造しています。
多い時で70名近くいた工員さんも今ではパートさんが10名いるかいないか。
月産数もピークの1/10程度だそうです。

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製造されている眼鏡は5~6万円のものから10万円を超える高級な眼鏡です。
一人ひとりの顔に合わせてフレームを作ってもらえるので、
遠方からわざわざここに依頼しに来られるそうです。
バフ研磨バレル研磨の工程の多さに驚きました。

車で道を走っていると、眼鏡にまつわる会社が多いのが本当に目につきました。
産業によって街が形作られていくというのがよく分かりましたが、
街全体が静かで閑散とした雰囲気も気になります。
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打ち合わせ後、少し時間があったので近所の眼鏡ミュージアムへ。
古い眼鏡から新しい眼鏡の展示まで。
また、鯖江に眼鏡産業が入ってきた当初の制作現場を再現していて、
ご高齢の元眼鏡職人の方がおられたので、眼鏡のルーツの話を聞くことができました。

その方の話によると、眼鏡も歴史は丸眼鏡から始まりますが、
眼鏡の機能はもともとレンズではなく風防だったそうです。
(昔の軍隊などが発祥かもしれませんね)
後に、そのフレームにレンズを入れて、視力のための眼鏡になったとのこと。
自転車の眼鏡の方がルーツの機能だったって事ですね。

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展示している古い眼鏡がなぜ丸眼鏡ばかりなのかと聞くと、
昔は近視用の眼鏡しか無かったからだそう。

近視と乱視の違いも知らなかったのでピンとこなかったのですが、
近視用レンズは虫眼鏡のような凸レンズ。
乱視用レンズは焦点が一つでは無いので、レンズの位置を固定しなければなりません。
丸いフレームと丸いレンズでは回転してしまうので、乱視用レンズが発明された事に合わせて
レンズが回転しないように丸以外の様々な形のフレームが作られようになったそうです。

まさに「形態は機能に従う」を地で行ったようなプロダクト。
お洒落なのもいいですが、街も道具も機能が失われていくのは
プロダクトに関わる人間としては歯がゆさが残ります。

お話が面白すぎて予定がオーバーしたことによってその後の大雪で
通行止めになった高速道路に取り残されてしまいましたが、
とても面白い体験をすることが出来ました。