「日本の森と木材」

2014/05/19

先月、京都大学の壇ノ浦先生に連れられて奈良県吉野に社会見学に行きました。

吉野といえば自転車の山岳レースで毎年お世話になっています。
レース中の補給ポイントで提供される柿の葉寿司もおいしいです。

今回はその裏側。
吉野の林業について。

吉野は高級木材の吉野杉が有名なのですが、日本全体の林業と同様に吉野も昔に比べ衰退しています。
何故衰退しているのかは普段僕たちの生活を見れば明白です。
服を買う時に日本の生地かどうかが分からないように、
家を建てる時に見えない部分の構造材に日本の木材を使う事も少ないと思います。
見える部分の構造材でも、杉は和風に見える事から嫌がられる事もあるようです。

日本の国土の約7割が森林、そのうちの4割は人工林。
近年は台風や豪雨で土砂崩れが増え、改めて森が大切だということは分かりましたが、その半分近くが材料としての木なのです。

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見渡す限りの人工林

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計画的に間伐と伐採が繰り返されて森が保たれています。

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しかし間伐にはコストがかかるため、放置された森はこのように不法投棄されてしまったり。

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土砂崩れで封鎖されたままの道を見てびっくりしました。

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この日はたまたま年に2回の吉野材市場の日だったので、広場に木材が集められていました。
これでもピークの半分以下だそうです。

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丸太にはそれぞれ大きさと価格が書いてありますが、素人には違いが分かりません。

日本の森を考える時、森を大切にしようというだけでは解決されない問題が山積みだと分かりました。
一番驚いたのは、吉野の人工林は山毎ではなく区画で持ち主が違うらしいので、伐採した丸太を運ぶ時に、他者の木を傷付けないように、ヘリコプターで運ぶ事もあるらしいです。
全部ではないと思いますが、そのような流通の縛りも価格を上げる要因になっています。
なんでそんなことになったと言う事は簡単なのですが、物を売ったり買ったりする事について、
消費者目線で考えた時、財布の状況に合わせて広い選択肢の中から選べば生活水準は落ちません。
企画者目線で考えた時、トレンドに合わせて売れる物をリリースすれば仕事は成功と言えるでしょう。
しかし生業は、市況の変化ほどスピーディには変えられないものだと実感しました。

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酒樽の側面の板材を作っている樽丸さんにも行きました。
酒樽用の木材を樽丸と言うらしいです。
いつもながら、そこだけを作る仕事があるのかと驚きます。

この職人さんも、今までは作る事だけ考えていれば良かったけど、見学者の関心が材や森に向かっているので、説明するために初めて自分でも関心を持つようになったとか。
自分の持ち場だけでなく皆が幅広い視野で関心を持つことがとても大切な事だと思います。