業務用の堅牢性とテーブルウェアの心地よさを両立させたウォーターピッチャー
近年の世界的な環境意識の向上による「使い捨てプラスチック」廃棄削減の潮流を受け、中〜高価格帯の宿泊施設を中心に客室での無料ペットボトル提供を廃止し、ラウンジなどの共用部に設置したウォーターサーバーを宿泊客が利用するスタイルへの転換が進んでいる。
この変化に伴い、客室で水を保管するためのピッチャーやボトルの需要が増加したが、従来の市販製品では耐久性や清掃性の面でホテルの過酷な使用環境に耐えうる選択肢が限られていた。本プロジェクトでは、優れた耐衝撃性・耐薬品性を持つメラミン樹脂を採用し、業務用途に耐える堅牢性と客室空間に馴染む意匠性が両立するウォーターピッチャーの開発を目指した。

設計における最大の制約は、客室内の小型冷蔵庫に収まるコンパクトな外寸と、1Lの容量確保という相反する条件の両立であった。限られたスペースの最適化と清掃効率の向上のため、ハンドルや蓋のつまみなどの突起を排除。その代わりとして、本体側面に一見では判別できないほどの微細な曲率の変化による「くびれ」を設け、指掛かりを良くすることで、女性の手でも片手で確実にホールドできるシェイプを導き出している。


蓋の構造についても、突起を設けずに開閉できるよう容器本体との間にわずかな隙間を設計。この意図的なクリアランスが指を掛けるポイントとなり、造形をミニマムに保ちながら直感的な操作を可能にした。


業務用製品特有の過度な装飾や力強さを抑制し、テーブルウェアとしての佇まいを重視したことで、過酷な使用環境に耐えうるスペックを備えながら、宿泊者が手にとった際に日用品としての心地よさを感じさせるプロダクトになった。

設計領域
・プロダクトデザイン
・プロトタイピング
・ユーザビリティデザイン
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